#2 誰もが「できない」と言い張る、大型で安全なリチウムイオン電池の実現に向けて

電気自動車との出会いから、吉田は蓄電池の持つ可能性に魅せられていた。安く提供される夜間電力を電気自動車に蓄電して、昼間に走行する。石油のような有限かつ、C02を排出する資源に代わる新エネルギーとしての電力だ。PCやスマートホン、タブレットに使用されているリチウムイオン電池は小型でエネルギー密度が高く、今や現代人の生活に必要不可欠な存在となっている。そんなリチウムイオン電池の唯一とも言える欠点が、発火のリスクがあるということだ。

「どうやったら安全なリチウムイオン電池が作れるのか? 当時はそんなことぜんぜんわかりませんから、直観的に試行錯誤していきました。電気自動車を普及させるためには、もっと大型の電池が必要だったんです。現在も普及している18650のリチウムイオン電池のような小型用ではない、安全で大型の電池です。でも、誰もが『あんな危険な電池は大きくできない』と口をそろえて言うんです」。

発火リスクがなく、電気自動車の動力となる新時代の大型電池。そんな製品が実現できれば世の中の役に立つし、ビジネスでも勝てる。さらに上手く行けば、日本がエネルギーの輸出国になれる日が来るかもしれない。CO2を排出し温暖化をはじめとする異常気象の引き金となり、子孫の代には枯渇するであろう石油に代わり、蓄電が新しい時代のエネルギー産業になる。未だ誰も手を付けていないこの事業に、吉田は率先して取りかかった。
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